子どもを守るSNS規制のいま:各国の取り組みと日本の課題とは?

2025/06/10

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子どもを守るSNS規制のいま

SNSの利用制限が注目される理由

スマートフォンやSNSが身近な存在となった今、子どもが安心してインターネットを使える環境づくりが世界中で大きな課題となっています。とくにTikTokやInstagramなどの影響力が高まる中で、「依存症」「いじめ」「プライバシーの侵害」といった問題が浮き彫りになっています。

今回は、SNS利用に関する各国の規制や対策をまとめ、日本の現状と今後の課題についても考えてみたいと思います。


アメリカ:未成年のSNS登録に保護者の同意を義務化へ

2023年、アメリカではユタ州やアーカンソー州などで、18歳未満のSNS利用に親の同意を必要とする法律が次々に可決されました。とくにユタ州では以下のような厳格な措置が取られています。

  • SNSアカウントの新規作成には保護者の同意が必要
  • 午後10時から午前6時の利用を制限(親が解除可能)
  • 保護者が投稿内容やメッセージを確認できる仕組みを導入

これにより、SNS企業にも未成年ユーザーの年齢確認や制限機能の強化が求められるようになっています。


フランス:13歳未満のSNS利用を原則禁止

フランスでは2024年に新たな法案が可決され、13歳未満のSNS利用を原則禁止する措置が進められています。また、13歳~15歳のユーザーについては保護者の明確な同意が求められるようになりました。

さらに、プラットフォーム側には以下の義務も課されました。

  • 年齢確認システムの導入
  • 有害コンテンツへのアクセス制限
  • メンタルヘルスへの影響を調査・報告する責任

このような法整備は、子どもたちの精神的健康を守る目的で行われています。


中国:使用時間を制限する国家主導のアプローチ

中国では、18歳未満のSNS利用を1日2時間までに制限する措置をすでに導入しています。これは「青少年モード」として知られ、以下の特徴があります。

  • 特定時間帯(22時〜翌6時)の利用禁止
  • 動画視聴は1回40分まで
  • 保護者がパスワードで管理

中国は国家主導でIT企業に対して強い規制を敷いており、教育との両立や健康的な生活リズムの維持を重視した政策となっています。


日本の現状と課題:自主規制にとどまる制度

一方、日本ではSNSの利用制限について法的な拘束力はほとんどなく、各家庭や自治体に委ねられている状況です。文部科学省や総務省が推進するフィルタリングソフトの導入や、スマホ利用ルールの啓発は進んでいますが、強制力のある規制は導入されていません

現在の主な取り組み:

  • スマホ・ネット利用に関する「家庭内ルール」推進
  • 学校での「情報モラル教育」
  • 各キャリアのフィルタリングサービス

しかし、子どもの年齢確認が形骸化していることや、親自身がSNSに疎いケースも多く、実効性には課題が残されています


親としてできる対策:家庭でのルール作りと対話

SNSの利用制限に法的なサポートが少ない日本においては、家庭での対話とルール作りがとても大切です。以下のポイントを意識してみましょう。

  • 子どもと一緒に「SNSのリスク」について話す
  • 利用時間や利用場所のルールを決める
  • フィルタリング機能を積極的に使う
  • 保護者自身もSNSについて学ぶ

「子どもにスマホを持たせる=自由」ではなく、「適切な使い方を一緒に考える機会」と捉えることが重要です。


まとめ:日本にも求められる制度と意識の両面改革

世界各国が次々とSNS規制の法整備を進める中、日本も「親まかせ」や「自己責任」だけでは限界に近づいています。今後は、

  • 年齢確認の強化
  • SNSプラットフォームへの規制強化
  • 教育現場でのデジタルリテラシー教育の充実

などの制度面での対応と、親世代のリテラシー向上が求められます。

子どもたちが安全にSNSを使いこなせる未来のために、私たち親も一緒に学び、行動していきましょう。

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